まさかのコロナ感染


 「抗原検査は陽性でした。コロナに感染しているということです」
 かかりつけ医マツダ先生の電話の声に全身がキュッと縮むような感覚がありました。
 マツダ先生はかかりつけ医なので、高血圧の薬を処方してもらうために定期的に診察に通っています。まさこがマツダ先生をかかりつけ医として、血圧の薬を処方してもらい始めてから9年になります。診察室では、血圧を測りながら「お変わりないですか?」「はい!先日は登山に行ってきました!」という会話はしょっちゅうしています。「フィンランド とポルトガルに行きます!少し多めに出してもらえませんか?」などとお願いすることもたびたび。いつもにこやかに聞きながら「私も退職してゆっくり山にでも登ってみたいなぁ。」「それにしても、女性は退職後も元気ですねー」と話しておられました。まさこの元気に飛び回る性分はよーく分かっておられます。
 そのマツダ先生からコロナ感染が宣告されて、はあ?今なんと言われました?といった、信じがたい、夢?いやいや現実だよ!とちょっとした錯乱状態に陥っていたように思います。
 オミクロン株の感染爆発で、今や誰が感染してもおかしくない状況ではありますが、どこかで油断もあったのだろうと思います。
 昨日、昼頃から寒気と発熱が始まり、風邪かな?と葛根湯を飲んでしばらく身体を横にして休んでいたのですが、心配になって発熱外来に電話してみました。熱が出始めてまもないうちは検査の結果が正しく出ないので、明日また熱が続くようなら電話してくださいとのことでした。
 そのうち熱は上がり始め38度台の高熱が続きましたが、葛根湯を飲み、脇の下にはタオルに包んだ保冷剤を挟んで寝ました。明け方目覚めたら、熱も平熱に戻っていたので、ああ、ただの風邪だったのかもなー、これなら発熱外来にも行かなくていいかなぁと思い始めていました。
 軽症なだけに返って怖いのがオミクロン株。まさこがそう思ったように素人判断で、病院に行かない人はきっとたくさんいると思うのです。まさこも本気で、もう大丈夫!と思いましたから。
 それでも昨日電話したしなー。きっと陰性のはずだし、受けるだけ受けておこう!と思い直して、朝一番に電話してからマツダクリニックに出かけました。
 マツダクリニックには駐車場がたくさんありますが、電話に出た看護師さんから「一番奥の番号1か2に停めてくださいね。到着して車を停めたらすぐに電話してください。看護師が車に向かうまで、そのまま待機していていただきますので」と言われていました。クリニックの駐車場はすでに1には車が停まっていました。2に停めてから看護師さんに言われたとおりに待機していると、防護服っぽいものを身にまとった看護師さんが問診票と車の窓に貼り付けるビニールシートを持って現れました。まずビニールシートを車の窓に貼り付けます。そのあと、窓を開けるよう指示され、小さなバットを差し出して「この中に保険証とお薬手帳を入れてください」と言われました。
 問診票に記入していると、やはり防護服のようなものを着たマツダ先生が現れ、車の窓越しでの検査となりました。口元はマスクで覆ったまま鼻だけ出すと、検査の棒をぐいと奥まで差し込まれました。ウッと声が出そうでしたが我慢しました。痛くて涙が出ました。
 唾液のPCR検査はもう何度も経験しましたが、確かにコロナの出始めにテレビで見てた検査はこれだったなぁと思い出しました。みんな辛かったんだなーと。
 そのあと数分後、車で待機するまさこにマツダ先生から電話が入りました。「検査結果は陽性でした」「これから保健所に連絡するので、しばらくしたら保健所から電話がありますよ」と。愕然とするまさこの車の隣にはまた新たな車が駐車していて、やはり防護服の看護師さんが対応に追われていました。朝のこの時間までで、少なくともこれで3人目。オミクロン株の感染者は本当に増えてるんだなぁと実感しました。
 すぐに、とりあえず思いつく人にはほぼ全て感染の報告をしました。最近、行動をともにした人たちには、もしかしたらまさこが感染させたかもしれないことを知らせないと!と急ぎ連絡しました。あとは、まさこが担っている仕事に関わる人たちにも連絡し、これから先のスケジュールの調整や約束事のキャンセルをバタバタとしました。
 家に帰り着くと、すぐに保健所から電話が入り、とても丁寧な説明と聞き取りが続き、濃厚接触者となる人には保健所から連絡をするとも言われました。
 ここで分かったのですが、濃厚接触者の規定はこの間に変更されていて「(発症日の2日前から発症日までの間に)マスクなしで、1メートル以内15分以上会食をともにした人」なのだそうです。学校でも、感染者が出てもマスクを付けていたら同じ教室で一日中生活しても濃厚接触者にならないのだと聞いたことがありました。さらには感染者と接触した看護師さんも同様だというから驚きです。
 本当の話?それって、ただ濃厚接触者を増やしたくないからなんじゃないの?と疑わずにはいられません。濃厚接触者には保健所から連絡が入ることになり、感染者同様に丁寧な対応が必要となります。その対応がパンクしていると聞いています。これまでの政策で保健所が年々減らされて、今の体制では対応しきれないのだとか。対応できなければ人を増やすことに力を尽くすべきなのに、規定を変えて濃厚接触者の見え方を減らすなんて言語道断だな!!対応しきれない保健所や職員が悪いのでなく、保健所を減らし続けてきた政治の問題なんだ!と怒りが込み上げます。
 今の政治は、命を大切にしないんだなぁとつくづく思い知らされます。
 でも、政治に憤るのと同時に、自分の気の緩みも強く反省させられています。
 この間の超のつく多忙な日々に、ついつい予防の意識が希薄になっていたかも!と。さらには疲れがたまって免疫力が落ちていたのかもなぁと。それなのに楽しみにしてたことは絶対に外さずやり抜かなくては気が済まない性分だしと。全て自分が選んで歩いてきた道なのです。
 とにかく感染経路は全く不明。思い当たることがありません。まさこの身近な人たちがどうか感染していませんように!
 毎朝拝んでいる神様とてぃだ(太陽)に祈るだけです。

 画像は、問診表に記入し終えて、マツダ先生を待っているときに車から撮りました。このときはまだ、陰性を信じていて、この経験をブログに書こう!と思っていたほど、のん気なまさこでした!
 なんと罰当たりな。いや、バチが当たったんだな。